いろーんな「こうかい」展開中!
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書きなぐりですので、また後で手直ししまっす!!
続きからどうぞ!
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☆ ☆ ☆ ☆
背中越しの熱
サンジが船を空けたのは、都合四日だった。
たどり着いた島が秋島のレジャースポットで有名なところだったのが、大きな要因だ。
つまり、ナミとロビンのお供で、四日の間カジノでの用心棒をしていたのだ。
ナミもロビンも意図したわけすではないが、これでも一応有名なおたずねもの。美しい二人の手配所がバラ撒かれたのは、まだ記憶に新しい。
エニエスロビーの件では、ルフィを筆頭に一味全員が…色々ともの申したくなるものは若干名いるものの…凶状持ちになったという珍しい海賊団だ。
特に一億越えが二人もいるというのも、人目を引く。
けれど、基本のんびりのほほんな一味だ。自分達がお尋ね者になったからといって、あまり気にしていないのも実状だ。
けれど、昔からそのために逃げ続けていたロビンはそれなりに対処が必要だと思ったのだろう。
海賊でも歓迎してくれるカジノに行くとなった時、用心棒をしてくれと頼まれたのだ。
一応候補としては、ゾロもあがったのだ。が、さすがに賞金があがった直後ということと好戦的すぎるということで却下。フランキーは用心されそうでダメ。ルフィにいたっては、一時もじっとしていないというデメリットの方が大きい。チョッパーは可愛い、ウソップはちょっと頼りない…と消えていった結果、サンジに白羽の矢が当たったというわけだ。ある意味順当だろう。手配書もサンジだけは写真ではなかったことも加味さている。
例え本人に大抗議があったとしても、些細なことだ。
その間他のクルーは問題を起こさないように、島の宿に潜ることになっていた。
ただこの島は海賊もオッケイというおおらかなだけに、あまり治安は良くなかった。
なので、問答無用で飛び出していったルフィを除き、もう一人の高額賞金首のゾロが留守番と相成った。本人も別段不満を表明しなかったので、そのまま決行となったのだ。
この島のログは七日かかるらしい。
四日という期間はナミ達が荒稼ぎをして、自分たちもゆっくりするギリギリの時間だったらしい。
普段なら船番が置かれた状況ならば、サンジは飯の用意をしていくし、それが数日に及ぶのならば時折戻っては様子を見に行く。
今回は用心棒という状況も含めて、船には四日分の食料は用意していったが、船には一度も戻らなかった。
まあ相手がゾロだったのもある。
どうせあの男は食うよりも、呑むか鍛錬するかしかない。
用意しているのだから、飯を食べ損ねることもないだろうし、元より船が襲われる心配など欠片もしなくてもいい。
だからこその、放置だったのだが。
サンジは船に戻り、小さく嘆息した。
一発で分かる。
きっとキッチンの扉を開けたら、絶対に見たくないものがある。
なにせドア越しに、かすかに匂う。これはアルコール臭だ。
鋭い舌打ちをし、サンジは覚悟を決めてドアを開けた。
薄暗い室内に一瞬目がくらんだ。
ソファの方に、うずくまる人影があるのがすぐに分かった。太平楽に鼾まで聞こえる。日中で人もいないとなると、この男は寝るのが普通らしい。
夜中はいつまでも起きているくせに。
苛々してしまうのは、もう反射だ。強く匂うアルコールは、男の周りに何本も放置されている瓶からのものだろう。
たった四日で、いったい何本消費したのか。
一応ここまで! と命令していった数より確実に多い。
鋭く舌打ちをして、サンジはずかずかとがに股も荒く起きる気配もない男の側に歩み寄った。
まったくこれでは船番にもなりゃしない。
大きく片足を上げて、力任せに振り下ろす。
過たず足は男の腹にめり込む予定だった。
分かってはいたが、しかし足は男の腹寸前で止められた。
本気の殺気を混ぜたから当然だが、殺し損ねてサンジは心からのさげずみの眼差しを注いだ。
「誰がこの酒を呑んでいいと言ったか、一言も言わずに腹を切れ、この腐れマリモ」
うっそりと片目を開け、ふわわとあくびをする男は、言われた通りに黙り込んだまま手をひらひらと振った。
「もしこれを船番賃だとかふざけたことを抜かしやがったら、禁酒だからな。うわばみめ」
軽く腕を曲げてソファに肘をつき、腕枕をしてみせた男は、じっと憎々しげに紫煙を吹かす男を見上げている。
感情の見えない目に、しかしサンジはまったく頓着しなかった。そんなことにいちいち反応する程うぶではないし、この男が何を考えようかまったく関係ない。
関係あるのは、この酒の消費量だけだ。
「ったく、お前はこの船の酒蔵何回空っぽにすりゃ気が済むんだったてんだ。これだって立派な栄養源だってーのに」
ブツブツ言いながら、足下に転がっている瓶をしゃがみ込んで拾う。
ふとその丸めた背にトンと小さな衝撃が走った。
ん? と動きを止めたサンジの背に、今度はしっかりと小さな熱が灯った。いや、何かが押しつけられている。
振り返ろうとした時、その何かはつっ、と背を上った。
背骨をたどるように、首の付け根の近くまでその小さな熱は登り、クンと圧力を強める。
「………」
何かを言うのもはばかれて、しかし今の状況がよく掴めず、サンジは小首を傾げた。
多分、今、この背骨を辿っているのは…指ではないか? しかしゾロは肩肘をついてこちらを見ている姿勢から動いた気配はない。
となると。
チラリと視線を足下に落とせば、瓶の側にごついブーツが投げ出されていた。
珍しいことに、どうやら背後の男はいつもは脱ぎもしないブーツを脱いで、キッチンのあるこの部屋のソファに丸まっていたらしい。
それに思い至った瞬間、小さな熱が何かをノックするように首もとの小さな骨をくるりとなぞった。
思わずピクリと身体が反応する。
一気に体温があがった。声を堪えられたのが、奇跡のような不意打ちだ。
そしてその熱をさらに煽るように、力をくわえられた熱が、ずるりと背骨をなぞっていく。
静かな室内に、サンジが息を呑む音がはっきりと響いた。
思わず丸まった背中を、柔らかな仕草なくせに的確なポイントをねらうように、熱が小さく小さく這う。
「…てっめ…」
呻けば、背後で笑う気配がした。
その笑いに確信する。
この男は、すねている。
全身から力を抜き、あからさまに大きくサンジは溜息をついた。
まったく、なんて男だ。
「お前な、たった四日だろうがよ」
答えはない。けれど、不満そうな気配はビンビンに届く。
「ったぁく、お前を一人にしとくのは、四日が限度だってか?」
笑うサンジに、しかし背後の男は背に押しつけた足指で一度だけ強く一点を押した。
以前、ルフィを庇っておった傷の辺りだ。
いつの間にか敏感になっていた肌に、その刺激は強い。
というよりも、どこか身体のうちの奥深い所を急所のように狙い撃ちされてしまう。
「…っ、このバカめ…いいたいことがあれば、ちゃんと言いやがれ! おれが欲しいなら、言え!」
振り返れば、鋭い眼光がサンジを迎えた。
「寄越せ。お前の全部」
「この酔っぱらい」
たった四日、完全に放っておけばこのザマか。
サンジは笑ってゾロの上に身体を放り出した。
つぶされた男が、ぐえっと声を上げたのを、さらに押しつぶす。
腐っても鍛えた男一人の体重だ。下にしたヤツ程ではないにしても、重いのは当たり前だ。
「甘えん坊には、これくらいで十分だな。ほれぼれ、堪能しやがれこの酒浸り剣豪め」
どんなに酔っていても、どうせ敵襲があれば一瞬で正気に戻るのだ。その男が、のんきにサンジを構っている。
いつもより少し熱い腕が、遠慮なくサンジの胴を抱き寄せ、満足そうに吐息をつく。それを見下ろし、サンジは煙草を吹かして笑った。
「しょうがねぇから、側にいてやる」
「おお、ずっとおれから離れんなよ」
「はいはい…とか言うか、その前に片づけやがれ唐変木!」
「逃がすか馬鹿」
ギュウギュウに抱きしめられて、ギブギブと呻いて笑う。
声を出して笑って、サンジはゾロに寄りかかった。
たった四日。
どうやらスキンシッブ不足は自分もだったらしい。
今夜はどうせ誰もこの船には戻ってこない。
それを見越して、四日ナミ達につきあっていたなどと、絶対に言うものか。
我慢の限界値は四日と少し。
脳内にメモって、サンジはゆっくりと口元から煙草を抜いた。
酒臭い部屋のままだけれど、とりあえず酔っている振りをしているこの男を構い倒す時間は十分。
見下ろせば、共犯者のような笑みを浮かべる男に、サンジもニヤリと笑って煙草の火を掴み消す。
さて、どう料理して、もしくはされてやろうか。
サンジがそう考えた瞬間、小さなスイッチを押すように、背中の中心をゾロの指がなぞった。
終了
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