いろーんな「こうかい」展開中!
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ふと耳を澄ますと、どこからか微かに聞き覚えのある、か細い音がする。
夕暮れ時の船はゆっくりと静かな海に白い軌線を引きながら、沈み行く茜色の源に向かって前進している。
のんびりとしたライオンの上には、小さなくせに、でっかい野望を持った少年の人影が一つ。
だが奏でるような音の出所ではなさそうだ。
サンジは後手にドアを閉めると、しばふの甲板へと手すりから身を乗り出して下を覗き込んだ。音が下から流れてくるような気がしたからだ。
案の定甲板に植えられた大木に寄りかかるように座り込んだ緑と同化するんじゃないかと思う男と、ブランコに座った骸骨がいる。
微かな音は、どこか茜がさらに濃くなっていく空間に淀みなく、しかし、音楽にはならない哀切な音の羅列を並べたてていく。それがなんなのかと、身を乗り出したら顔を上げた男と目があった。
「なにやってんだ、お前」
途端音が途切れる。
サンジはそのまま上体をゆっくりと倒し、ひらりと甲板へと躰を投げ出した。
しなやかに一回転し、柔らかい土の上に体重を感じさせない動きで着地する。
「そりゃおれのセリフだ」
立ち上がりながら胸元から煙草を取り出し、軽く肩を竦めつつそう言えば「ヨホホホホホ」と笑うブルックの声が響いた。
「サンジさんにも聞こえてましたか」
ブルックは小さくブランコを揺らすと、ゾロの方を見た。
「今の音はお前が?」
その視線につられるように、木にもたれかかるゾロを見れば、平然と彼は頷いた。
「なにしてたんだ?」
どこか微かな、懐かしいような掠れた音。それがなんの音なのか、今一思い出せずに首を傾げれば答えはあっさりと返ってきた。
「口笛だ」
目を見開き、サンジはわずかに口を開いた。そう言われれば、確かに哀切な響きを思わせるあの音は確かに口笛のものだ。
ただメロディを奏でていたわけではなかったから、なんとなく想像できなかったのだ。
納得したら、妙に落ち着いた。
そのまま手にしていた煙草を銜え、けれど火はつけずにサンジは二人を見た。
「口笛かぁ…懐かしいなぁ。けど、なんでまた口笛なんか吹いてるんだよ」
なんとなくからかうようにそう尋ねれば、ゾロは面倒そうにブルックを指さした。
「そいつに聞け」
「ヨホホホホホ、投げましたね!ゾロさん!」
笑いながら、ブルックはサンジを見上げ己の両手で両頬をくるみ込むように添えた。
「ほら、私、この通りの姿でしょう。つい先日、ゾロさんが口笛を吹くのを目にしましてね、羨ましくて羨ましくて、教えてくださいと絡みまくったんです」
「からんだのかよ!」
というサンジのツッコミはあっさりと却下され、ブルックは遠くを見るように顔を擦った。
妙にザリザリと音がするのが不気味だ。
「ゾロさんには、無理だとさんざん言われましたが、これでも私音楽家のはしくれ。口笛だってマスターしたいじゃないですか」
「だから、口笛は唇ねぇとできねぇだろうが!どこにあんだよ、肉!」
…どうやら、この言い合いを随分繰り返したらしい。恐ろしく的確なツッコミがゾロから抜群のタイミングで入る。
「そんなの不公平じゃないですか! これだけ骨身を惜しまず、マスターしようとしているというのに!」
「不公平とかいう問題か! 生まれ直せ!」
「テキビシー!!」
言い合う二人を呆然と見ているサンジの前で、ブルックが仰け反ってブランコから落ちる。
「生き返るのではなく、生まれ直すしかないのでしょうか…ああ、口笛。憧れの口笛…草笛でもいいからと、ゾロさんに習ってみたものの…」
どうやらそういうことまで、付き合わされたらしい。ゾロは憮然と眉間に皺を寄せる。かなり忍耐を動員していると思われた。
「やはりこれも唇なしでは、手厳しい。骨には、あの微かな音の響きは得られないというのでしょうか…いいえ、そんなことはないはずです」
こいつわっかんねぇ…。とサンジが首を振ると、同じタイミングでため息をつくゾロがいる。
起き上がったブルックは、軽く己の躰をはたいて埃を落とすと、くるりと二人へと向き直った。
「私はここ数日、とにかくあの音をものにすべく! 頑張りました。努力してきたのです! それこそ、骨になるほど!」
「だから元々骨だろうが」
やれやれとそれでも突っ込むゾロに、サンジは苦笑しかもうでない。
「そして、その成果は現れた! お二人とも、聞いてください! これぞ、わたしの編み出した究極のメロディ! 微かな調べ! あの哀切な音をわたしに! 曲はああ、哀愁の『あかとんぼ』!」
胸を張り、ブルックはおもむろにむき出しになっている歯をさらに噛みしめて横に広げ…
静かな音をどこからか滑り出させた。
どこか掠れた優しく細い音が、静かに今の夕焼けに寄り添うような短いメロディを生み、流し出す。
ゾロが木から背中を起こし、サンジが驚いたように一歩を踏み出す。
その間にも、哀切なメロディは静かにサニー号に添うように流れていく。
ゾロのような音だけではない、それは確かに音楽家らしく、人の心に訴えかけるような美しい音の芸術で…。
ゆっくりと音楽が終わった時、それはそれは誇らしげに、ブルックは二人を見た。
「どうです!? これぞ究極の! ブルック流『くち…』」
「「そりゃ骨笛じゃねぇか!!」」
最後まで言わせてもらえず、ブルックは蹴りと鞘に殴り飛ばされて、お星様になった。
…という夢を見ました。
起きて真っ先に、なんて夢を見るんだと布団の上に突っ伏しました。私は悪くない。
長い前置きでした。
前置きです。
勿論です。
こんばんは、冷たい雨が降った本日。何故か仕事が山積みになってきて、妹と二人で首を傾げてバッタバタとしておりました(笑)
冬に逆戻りですよねぇ。温かさに慣れた躰には辛いです(笑)
今日は二十四節句の一つ、雨水。実は今日がひな人形を出す日だと知って、そんな日があるんかい!と大笑いをしてました。
もう出ているので、問題はないんですが…。なんとなく、しくじった気分になるのは何故なんでしょう(笑)
さて、長く前置きしすぎて、書くこと忘れた(笑)
明日をしのいだら、休めるはずなのでちと気合いいれてきます(笑)
では、本日はこれまででーす(笑)
一言レス下です
夕暮れ時の船はゆっくりと静かな海に白い軌線を引きながら、沈み行く茜色の源に向かって前進している。
のんびりとしたライオンの上には、小さなくせに、でっかい野望を持った少年の人影が一つ。
だが奏でるような音の出所ではなさそうだ。
サンジは後手にドアを閉めると、しばふの甲板へと手すりから身を乗り出して下を覗き込んだ。音が下から流れてくるような気がしたからだ。
案の定甲板に植えられた大木に寄りかかるように座り込んだ緑と同化するんじゃないかと思う男と、ブランコに座った骸骨がいる。
微かな音は、どこか茜がさらに濃くなっていく空間に淀みなく、しかし、音楽にはならない哀切な音の羅列を並べたてていく。それがなんなのかと、身を乗り出したら顔を上げた男と目があった。
「なにやってんだ、お前」
途端音が途切れる。
サンジはそのまま上体をゆっくりと倒し、ひらりと甲板へと躰を投げ出した。
しなやかに一回転し、柔らかい土の上に体重を感じさせない動きで着地する。
「そりゃおれのセリフだ」
立ち上がりながら胸元から煙草を取り出し、軽く肩を竦めつつそう言えば「ヨホホホホホ」と笑うブルックの声が響いた。
「サンジさんにも聞こえてましたか」
ブルックは小さくブランコを揺らすと、ゾロの方を見た。
「今の音はお前が?」
その視線につられるように、木にもたれかかるゾロを見れば、平然と彼は頷いた。
「なにしてたんだ?」
どこか微かな、懐かしいような掠れた音。それがなんの音なのか、今一思い出せずに首を傾げれば答えはあっさりと返ってきた。
「口笛だ」
目を見開き、サンジはわずかに口を開いた。そう言われれば、確かに哀切な響きを思わせるあの音は確かに口笛のものだ。
ただメロディを奏でていたわけではなかったから、なんとなく想像できなかったのだ。
納得したら、妙に落ち着いた。
そのまま手にしていた煙草を銜え、けれど火はつけずにサンジは二人を見た。
「口笛かぁ…懐かしいなぁ。けど、なんでまた口笛なんか吹いてるんだよ」
なんとなくからかうようにそう尋ねれば、ゾロは面倒そうにブルックを指さした。
「そいつに聞け」
「ヨホホホホホ、投げましたね!ゾロさん!」
笑いながら、ブルックはサンジを見上げ己の両手で両頬をくるみ込むように添えた。
「ほら、私、この通りの姿でしょう。つい先日、ゾロさんが口笛を吹くのを目にしましてね、羨ましくて羨ましくて、教えてくださいと絡みまくったんです」
「からんだのかよ!」
というサンジのツッコミはあっさりと却下され、ブルックは遠くを見るように顔を擦った。
妙にザリザリと音がするのが不気味だ。
「ゾロさんには、無理だとさんざん言われましたが、これでも私音楽家のはしくれ。口笛だってマスターしたいじゃないですか」
「だから、口笛は唇ねぇとできねぇだろうが!どこにあんだよ、肉!」
…どうやら、この言い合いを随分繰り返したらしい。恐ろしく的確なツッコミがゾロから抜群のタイミングで入る。
「そんなの不公平じゃないですか! これだけ骨身を惜しまず、マスターしようとしているというのに!」
「不公平とかいう問題か! 生まれ直せ!」
「テキビシー!!」
言い合う二人を呆然と見ているサンジの前で、ブルックが仰け反ってブランコから落ちる。
「生き返るのではなく、生まれ直すしかないのでしょうか…ああ、口笛。憧れの口笛…草笛でもいいからと、ゾロさんに習ってみたものの…」
どうやらそういうことまで、付き合わされたらしい。ゾロは憮然と眉間に皺を寄せる。かなり忍耐を動員していると思われた。
「やはりこれも唇なしでは、手厳しい。骨には、あの微かな音の響きは得られないというのでしょうか…いいえ、そんなことはないはずです」
こいつわっかんねぇ…。とサンジが首を振ると、同じタイミングでため息をつくゾロがいる。
起き上がったブルックは、軽く己の躰をはたいて埃を落とすと、くるりと二人へと向き直った。
「私はここ数日、とにかくあの音をものにすべく! 頑張りました。努力してきたのです! それこそ、骨になるほど!」
「だから元々骨だろうが」
やれやれとそれでも突っ込むゾロに、サンジは苦笑しかもうでない。
「そして、その成果は現れた! お二人とも、聞いてください! これぞ、わたしの編み出した究極のメロディ! 微かな調べ! あの哀切な音をわたしに! 曲はああ、哀愁の『あかとんぼ』!」
胸を張り、ブルックはおもむろにむき出しになっている歯をさらに噛みしめて横に広げ…
静かな音をどこからか滑り出させた。
どこか掠れた優しく細い音が、静かに今の夕焼けに寄り添うような短いメロディを生み、流し出す。
ゾロが木から背中を起こし、サンジが驚いたように一歩を踏み出す。
その間にも、哀切なメロディは静かにサニー号に添うように流れていく。
ゾロのような音だけではない、それは確かに音楽家らしく、人の心に訴えかけるような美しい音の芸術で…。
ゆっくりと音楽が終わった時、それはそれは誇らしげに、ブルックは二人を見た。
「どうです!? これぞ究極の! ブルック流『くち…』」
「「そりゃ骨笛じゃねぇか!!」」
最後まで言わせてもらえず、ブルックは蹴りと鞘に殴り飛ばされて、お星様になった。
…という夢を見ました。
起きて真っ先に、なんて夢を見るんだと布団の上に突っ伏しました。私は悪くない。
長い前置きでした。
前置きです。
勿論です。
こんばんは、冷たい雨が降った本日。何故か仕事が山積みになってきて、妹と二人で首を傾げてバッタバタとしておりました(笑)
冬に逆戻りですよねぇ。温かさに慣れた躰には辛いです(笑)
今日は二十四節句の一つ、雨水。実は今日がひな人形を出す日だと知って、そんな日があるんかい!と大笑いをしてました。
もう出ているので、問題はないんですが…。なんとなく、しくじった気分になるのは何故なんでしょう(笑)
さて、長く前置きしすぎて、書くこと忘れた(笑)
明日をしのいだら、休めるはずなのでちと気合いいれてきます(笑)
では、本日はこれまででーす(笑)
一言レス下です
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ほしづき さき
性別:
女性
自己紹介:
活字がなくては生きていけず。
日本文化にひたりまくり。
年期の入った刀好き。
どおりで、落ちた先は緑髪の剣士よ…(笑)
日本文化にひたりまくり。
年期の入った刀好き。
どおりで、落ちた先は緑髪の剣士よ…(笑)
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