いろーんな「こうかい」展開中!
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ドンっと目の前に大皿が現れた。
一瞬目を丸くしたゾロは、それに見目良く盛られた前菜らしき料理の数々を見て、それを差し出している目の前の男へと視線を流した。
「くへっ!」
多分、『食え』と言ったのだろう。
真っ赤に顔を染め、今にも口の端から火のついていない煙草を落としそうにしながら、金色の丸い頭を不自然にフラフラさせつつ、その男はさらにずずいっと皿をゾロに近づけた。
思わずゾロは背にしていた木を忘れて後ずさろうとして、思い切り背中を打ち付けた。
だが痛みを感じる暇もない。
「さーけばっかり飲んでんじゃねーぞって、前から言ってるだろうがっ!」
呂律が怪しい。
胡乱気に目を細めたゾロの前にどっかりと腰を下ろし、サンジはさらにじりじりと近寄って来ては皿を差し出す。そんな動きをしても、皿は微動だにせずゾロの目前から動かない。
こんなに酔っていても動きのキレは変わらないのだろう。
賑やかな周りの宴会騒ぎの中にあって、キュポンとたてた音が間近に聞こえ、ゾロの横にいたフランキーがコーラの瓶を口から離した。
「良いころあいにできあがってるなぁ、コックの兄ちゃんは」
「うーるせぃ、この変態! テメェは黙って糖尿になってろっ」
器用な巻き舌口調で喋って、サンジは唾を飛ばす。ゾロは素早く皿を受け取ると、その口撃から酒のつまみを死守した。
それをきちんと受け取ったと解釈したのだろう、サンジはにんまりと満面の笑みを浮かべ、うんうんと首が取れそうなくらい大きく頷く。
思わず心配しそうになるくらいの動きで目を回したらしい、一度不自然にふらんと躰を揺らし、しかし彼は持ち直した。
「酒のつまみには、塩辛いものだけじゃなくてよ、ちょっと甘いものなんかも合ったりするんだぜー…」
「…おう」
「お前は強い酒や辛い酒が多いから、そういうのには、甘いのも時にはいいもんなんだ」
「そうか」
なんとなく困惑したように答えるゾロに、大変だなぁ、お前も、とフランキーからチャチャが入った。思わず頷きそうになった所で、サンジの気配が剣呑に変わり、おっととわずかに彼が尻を動かして位置を変える。
それだけで一発では蹴りが入り憎い位置についたつもりだろうが、ゾロから見れば甘い。
サンジのリーチ力は実は計算外のものがあり、時折どうやって? と思う場所から蹴りが飛んでくる。それを交わすのは、もう勘の域しとかいえない。
経験積んでもらうか、と実に無責任なことを考え、ゾロは皿から生ハムらしきものが巻いてあるクッキーみたいなものを摘んで口に放り込んだ。
想像通りの塩気のある味なのに、じわりと唾液がわき上がるような味の深みが口内に広がる。
純粋に美味い。
思わず笑ったのだろう、それを目にしたらしいサンジがきょとんと目を見開く。
ついで、何故かぷわっと目に涙が溢れ、目にしたゾロとフランキーがギョッと目をむいた。
「…ひでぇ…」
サンジがぼつりと二人の目の前で零した。
何故か二人して慌てて目を見交わし、何が酷いんだ?! とアイコンタクトを取るが、さっぱり理由が分からない。
「…お前はなんて酷いんだ…」
おれじゃない、と息を吐いたフランキーとは対照的に、ゾロが唖然としたままサンジを見る。
「おい、コック?」
完全に酔ってると分かるどこか焦点のあっていない潤みまくった目は、もう洪水間近だ。どうしてもビビってしまったゾロを前に、サンジは悄然と肩を落とし、まるで捨てられた子ネコのように小刻みに震えている。思わず手を伸ばしたくなるような風情なのだが、腰が引けるのは何故だろう。
一旦俯いたサンジは、次の瞬間音を立てても不思議ではないくらい勢いよく顔を上げた。
これぞ睨み上げる見本、といった額に筋が浮かぶ壮絶な闘気に満ちた目つき。
ますます意味が分からず、しかし反射的にその眼つけを真っ向から受け止めたゾロの目も据わる。
恐ろしい程に禍々しい睨み合いだ。
フランキーが息を呑み、硬直してしまっている間にも、その睨み合いは深刻さを増して行く。
「てっめぇぇ」
サンジの声とも思えぬ低く深い声が、地の底からわき上がるように零れる。
「そんな笑顔みせんじゃねぇよ! この男前がぁっ! おれを弄んで楽しいか!? 楽しいのか、このマリモ野郎!! そんな笑顔に振り回されるおれを見て楽しんでるのか、きさまは最低だな!! 最低なんだこの野郎!
なのにそんな野郎が好きなおれはなんて可哀想なんだ、あああん!」
最後のあああんは語尾が見事に跳ね上がっているのをお忘れ無く。
一気に呆気に取られた表情にすり替わったフランキーとゾロを前に、さらに怒りに満ちた目つきに変わったサンジの顔色は、一気に赤味を増していく。
酔っている。
そりゃもう、完全に理性はイスカンダルの彼方だ。
ぐぐいっと半ば四つんばいになって、ゾロに近づいてきたサンジに、ゾロがせいいっぱい背中を木に押しつけて逃げようとする。
しかし、それを許すような酔っぱらいではない。
素早くその体勢から、バネのように足を伸ばしフランキーとの間に境を作る。
ガンッと派手な音がして、木が揺れた。
ハラハラと緑色の濃い葉が数枚、夜の甲板を流れていく。
目の端でそれを追って視線を逸らしたのは、多分逃げ道を探したのだとゾロは理解していた。
「おれはお前が好きなんだよ! ああ、愛しちゃってるんだよっ!」
地面に片膝をつき、もう片足は木について、その体勢のまま顔はゾロに近づける。なんの体操なのかと思いつつも、ゾロは精一杯避けつつとりあえず頷いた。
「…そうか」
「そーうなんだよ! 思い知ったか、クソマリモ!」
吼える大虎…もといサンジ。傍にいたフランキーが小さく首を振った。
「愛してる奴のそれが態度かよ」
「これがおれの愛し方よー! 男になんざ、これでもまだ可愛いわっ!」
キッと睨み付けられて、フランキーも苦笑するしかない。
「おれは女の子が大好きなのにーっ! こーんなにナミさんが好きなのにーっ! ロビンちゃんだって…あああああ、ビビちゃーーーーん!! なのに、なんでこいつ! こーんなに身悶えるのがこいつ!! いっそ殺してやりてぇ!」
大声で叫ぶサンジは気付いていない。
いつの間にか船はシンと静まりかえっていることを。
さっきまで聞こえていた賑やかなブルックの音楽も、それに併せて踊っていたチョッパー達の音も、笑っていたクルーの声も、全てが消えている。
無言のゾロに向かって、サンジはさらにずずずいっと顔を近づけ、酒臭い息を吹きかけた。
「殺してやりてぇのに、殺されるのはおれなんだぜ! おれはこいつにメロメロさ! なのにこいつおれを殺すんだー!」
「いや、なんでだよ!?」
律儀に突っ込む声が遠く背後から聞こえる。あれはウソップだ。こういう時にきちんと突っ込んでくれると有り難いのだが、なんだか話が深くなりそうでゾロは冷や汗が背中を伝うのを感じた。
「なんでだと? 簡単だ、こいつはおれを振るからだ」
「…それこそなんでだよ」
これは凄まれて告白されているらしいゾロから聞こえた。
「ああ!? そんなことも分からないのか、当の本人の癖に! お前がおれのことなんて好きじゃねぇからだよっ!!」
これにはひそひそと周りから「そんなことねぇよな」「ないわよ」「ふふ、ないわね」「ない!」などと声があがったがサンジは丸無視した。
「だからお前はおれを振るんだよ! たった今! これから!」
さすがに脈絡がない。見事な酔っぱらいだ。多分明日は記憶すら飛ばしているだろう。
「…振る気はねぇぞ?」
ここまで来ると、ゾロはゾロでどうやら開き直ったらしい。
深々と溜息をつくと、再び皿からカナッペを取り口にした。今度のは果物が塩気のあるバターと一緒になっていてこれも美味い。
「ひでぇっっ! なんってひでぇ男だ!」
ダンダンダンっと木を蹴りつけてどうやら地団駄を踏んだらしいサンジは、そんなゾロを睨みに睨み付け、低く唸った。
「おれを振らないだと! なんでだよ!」
「お前のこと好きだからだろうが!」
「ぎゃーーーーっ! ひでぇ冷血漢だぜ! なのになんでおれはこいつのこと嫌いになれねぇんだよ! お前は振るんだよ、おれを振って! おれを諦めさせて、おれはナミさんの胸に飛び込むんだよ! そしたらナミさんはおれを優しく慰めてくれるんだぁあああああ」
「それはない」
間髪入れず入ったツッコミは聞こえたらしく、サンジが泣きべそかきながら背後を見たが、全員手を振っている。
くすん、と鼻を鳴らし、でも…とサンジは今度は悄然とゾロを見た。
「お前…おれのこと好きなのか?」
「ああ」
「なら…おれのこと振ってくれよ」
「だからなんでだよ?」
「お前、おれのこと好きなんだろう!? なら振ってくれよ! それがお前がおれにできる最大限のよいことじゃん! おれは女の子が大好きなんだよー! お前を思い切れば、おれは! おれは! 分かるだろう!」
エクソシスト並みに上半身をぐりんと回して、横にいるフランキーに詰め寄ると、彼はガクガクと頷いた。
「お前はおれのこと好きかもしれないが、おれもお前のことだいっすきだが、お前はおれを振るんだ! おれは振られるんだ、それがお前がおれにしてくれる一番のことなんだよ、そうだろ!そうだろう!!」
「…おれはお前のこと好きなのにお前を振るのか?」
「そうだ! それこそがお前がおれにすることだ! だってお前、おれ達は一緒になれることって…ないだろう!?」
「そうでもねぇと思うがな」
「おれを愛してるなら、振れーっ!! いいから今すぐ振れーっ! そしたら、おれはお前がおれを好きだと、ちゃーーーんと理解してやるー!! だから振れー!!………振れっつってんだよっっ!!!」
そのあまりの勢いに、シン…と静まり返った中、深々としたゾロの溜息がこぼれた。
こいつはいったいどのくらい呑んだのだろう、とらちもないことを考えつつ、しかしとうとう涙を膨大にこぼしだした目の前の男に逆らう気力もない。
「あー、そうしたら理解するのか。本当だな」
「おう! おれはウソはつかねぇぜ!」
ガリガリと頭をかき、ゾロはそれこそ力の抜けきった声で、全身の力を抜きまくり躰まで背後の木に預けきって告げた。
「お前とはつきあえねぇ…」
それはこの場でのことなんだろうなぁ、と全員が理解した。
しかし。
サンジは硬直した。
それこそ石になったかのように、硬直した。
「…おい、コックのあんちゃん?」
思わず心配したフランキーが声をかけた途端だった!
洪水を思わす涙を、盛大に流しサンジががばっと立ち上がった。
そうして、
「うわーーーーーん、ゾロに振られたーーーーーーーーーっ!!!」
大音声で叫んだかと思うと、ゾロを思い切り木に叩きつけていた足でなぎ払うと、その場からキラキラと涙を光らせながら走り去り、とっととキッチンへと走り出す。
地面に横たわったゾロが見上げる中、本気泣きしたかのようなサンジが走り抜けていくのが見える。
腹の底から溜息しかでない。
そんなゾロの真上に、いつの間にか集まったクルー全員が顔を寄せてくる。
全員の目が同情に溢れまくっている。
「……お前も大変だなぁ……」
代表してそうまとめ上げたフランキーに、ゾロはもうやけくそのように目を閉じた。
…とかいう夢を見ました。
やまなしおちなしいみなし。
だって夢だもん。
というか、日誌に書くくらいなら、仕込んで話にするって手もあるんですが…まあ、これはこれということで(笑)
たまーーーーに、ワンピの夢を見ます。が、ホントにごく稀です。最近寝る前にお宝を少しづつ読むからかな? こんな中途半端な夢を見たのでご報告。
あ、一気書きの書き殴りなので、お話というには文章変です。すみません(笑)
ワケ分からないものだったので、ちょっとお裾分けしておきます(笑)この後どうなったんだろうなぁ(笑)
こんばんは、春の陽気でした。二十度軽く突破。
大寒って何?(笑)
でも天気はあんまりよくなくて、仕事しながらハラハラしておりました。段々段々雨雲が出てきてくらーくなっていきましたからねぇ。
梅が咲き始めてます。場所によっては満開です目の前の杜は見頃らしい。そろそろ1月も終盤、そんなもんかもしれません。
…南国と言われる場所ですよ、ここは(笑)
あー、なんか長々と書いたので、本日はもうこれまでにしますー。
つってもホント、適当に書いたので、そんな時間は経ってないんだけど(笑)
ではー、本日はこれまでー(笑)
ブログ拍手ありがとうございます!
見る度に鼓動が跳ね上がる気がします!
ぱちぱちに負けないように頑張ります(笑)
一瞬目を丸くしたゾロは、それに見目良く盛られた前菜らしき料理の数々を見て、それを差し出している目の前の男へと視線を流した。
「くへっ!」
多分、『食え』と言ったのだろう。
真っ赤に顔を染め、今にも口の端から火のついていない煙草を落としそうにしながら、金色の丸い頭を不自然にフラフラさせつつ、その男はさらにずずいっと皿をゾロに近づけた。
思わずゾロは背にしていた木を忘れて後ずさろうとして、思い切り背中を打ち付けた。
だが痛みを感じる暇もない。
「さーけばっかり飲んでんじゃねーぞって、前から言ってるだろうがっ!」
呂律が怪しい。
胡乱気に目を細めたゾロの前にどっかりと腰を下ろし、サンジはさらにじりじりと近寄って来ては皿を差し出す。そんな動きをしても、皿は微動だにせずゾロの目前から動かない。
こんなに酔っていても動きのキレは変わらないのだろう。
賑やかな周りの宴会騒ぎの中にあって、キュポンとたてた音が間近に聞こえ、ゾロの横にいたフランキーがコーラの瓶を口から離した。
「良いころあいにできあがってるなぁ、コックの兄ちゃんは」
「うーるせぃ、この変態! テメェは黙って糖尿になってろっ」
器用な巻き舌口調で喋って、サンジは唾を飛ばす。ゾロは素早く皿を受け取ると、その口撃から酒のつまみを死守した。
それをきちんと受け取ったと解釈したのだろう、サンジはにんまりと満面の笑みを浮かべ、うんうんと首が取れそうなくらい大きく頷く。
思わず心配しそうになるくらいの動きで目を回したらしい、一度不自然にふらんと躰を揺らし、しかし彼は持ち直した。
「酒のつまみには、塩辛いものだけじゃなくてよ、ちょっと甘いものなんかも合ったりするんだぜー…」
「…おう」
「お前は強い酒や辛い酒が多いから、そういうのには、甘いのも時にはいいもんなんだ」
「そうか」
なんとなく困惑したように答えるゾロに、大変だなぁ、お前も、とフランキーからチャチャが入った。思わず頷きそうになった所で、サンジの気配が剣呑に変わり、おっととわずかに彼が尻を動かして位置を変える。
それだけで一発では蹴りが入り憎い位置についたつもりだろうが、ゾロから見れば甘い。
サンジのリーチ力は実は計算外のものがあり、時折どうやって? と思う場所から蹴りが飛んでくる。それを交わすのは、もう勘の域しとかいえない。
経験積んでもらうか、と実に無責任なことを考え、ゾロは皿から生ハムらしきものが巻いてあるクッキーみたいなものを摘んで口に放り込んだ。
想像通りの塩気のある味なのに、じわりと唾液がわき上がるような味の深みが口内に広がる。
純粋に美味い。
思わず笑ったのだろう、それを目にしたらしいサンジがきょとんと目を見開く。
ついで、何故かぷわっと目に涙が溢れ、目にしたゾロとフランキーがギョッと目をむいた。
「…ひでぇ…」
サンジがぼつりと二人の目の前で零した。
何故か二人して慌てて目を見交わし、何が酷いんだ?! とアイコンタクトを取るが、さっぱり理由が分からない。
「…お前はなんて酷いんだ…」
おれじゃない、と息を吐いたフランキーとは対照的に、ゾロが唖然としたままサンジを見る。
「おい、コック?」
完全に酔ってると分かるどこか焦点のあっていない潤みまくった目は、もう洪水間近だ。どうしてもビビってしまったゾロを前に、サンジは悄然と肩を落とし、まるで捨てられた子ネコのように小刻みに震えている。思わず手を伸ばしたくなるような風情なのだが、腰が引けるのは何故だろう。
一旦俯いたサンジは、次の瞬間音を立てても不思議ではないくらい勢いよく顔を上げた。
これぞ睨み上げる見本、といった額に筋が浮かぶ壮絶な闘気に満ちた目つき。
ますます意味が分からず、しかし反射的にその眼つけを真っ向から受け止めたゾロの目も据わる。
恐ろしい程に禍々しい睨み合いだ。
フランキーが息を呑み、硬直してしまっている間にも、その睨み合いは深刻さを増して行く。
「てっめぇぇ」
サンジの声とも思えぬ低く深い声が、地の底からわき上がるように零れる。
「そんな笑顔みせんじゃねぇよ! この男前がぁっ! おれを弄んで楽しいか!? 楽しいのか、このマリモ野郎!! そんな笑顔に振り回されるおれを見て楽しんでるのか、きさまは最低だな!! 最低なんだこの野郎!
なのにそんな野郎が好きなおれはなんて可哀想なんだ、あああん!」
最後のあああんは語尾が見事に跳ね上がっているのをお忘れ無く。
一気に呆気に取られた表情にすり替わったフランキーとゾロを前に、さらに怒りに満ちた目つきに変わったサンジの顔色は、一気に赤味を増していく。
酔っている。
そりゃもう、完全に理性はイスカンダルの彼方だ。
ぐぐいっと半ば四つんばいになって、ゾロに近づいてきたサンジに、ゾロがせいいっぱい背中を木に押しつけて逃げようとする。
しかし、それを許すような酔っぱらいではない。
素早くその体勢から、バネのように足を伸ばしフランキーとの間に境を作る。
ガンッと派手な音がして、木が揺れた。
ハラハラと緑色の濃い葉が数枚、夜の甲板を流れていく。
目の端でそれを追って視線を逸らしたのは、多分逃げ道を探したのだとゾロは理解していた。
「おれはお前が好きなんだよ! ああ、愛しちゃってるんだよっ!」
地面に片膝をつき、もう片足は木について、その体勢のまま顔はゾロに近づける。なんの体操なのかと思いつつも、ゾロは精一杯避けつつとりあえず頷いた。
「…そうか」
「そーうなんだよ! 思い知ったか、クソマリモ!」
吼える大虎…もといサンジ。傍にいたフランキーが小さく首を振った。
「愛してる奴のそれが態度かよ」
「これがおれの愛し方よー! 男になんざ、これでもまだ可愛いわっ!」
キッと睨み付けられて、フランキーも苦笑するしかない。
「おれは女の子が大好きなのにーっ! こーんなにナミさんが好きなのにーっ! ロビンちゃんだって…あああああ、ビビちゃーーーーん!! なのに、なんでこいつ! こーんなに身悶えるのがこいつ!! いっそ殺してやりてぇ!」
大声で叫ぶサンジは気付いていない。
いつの間にか船はシンと静まりかえっていることを。
さっきまで聞こえていた賑やかなブルックの音楽も、それに併せて踊っていたチョッパー達の音も、笑っていたクルーの声も、全てが消えている。
無言のゾロに向かって、サンジはさらにずずずいっと顔を近づけ、酒臭い息を吹きかけた。
「殺してやりてぇのに、殺されるのはおれなんだぜ! おれはこいつにメロメロさ! なのにこいつおれを殺すんだー!」
「いや、なんでだよ!?」
律儀に突っ込む声が遠く背後から聞こえる。あれはウソップだ。こういう時にきちんと突っ込んでくれると有り難いのだが、なんだか話が深くなりそうでゾロは冷や汗が背中を伝うのを感じた。
「なんでだと? 簡単だ、こいつはおれを振るからだ」
「…それこそなんでだよ」
これは凄まれて告白されているらしいゾロから聞こえた。
「ああ!? そんなことも分からないのか、当の本人の癖に! お前がおれのことなんて好きじゃねぇからだよっ!!」
これにはひそひそと周りから「そんなことねぇよな」「ないわよ」「ふふ、ないわね」「ない!」などと声があがったがサンジは丸無視した。
「だからお前はおれを振るんだよ! たった今! これから!」
さすがに脈絡がない。見事な酔っぱらいだ。多分明日は記憶すら飛ばしているだろう。
「…振る気はねぇぞ?」
ここまで来ると、ゾロはゾロでどうやら開き直ったらしい。
深々と溜息をつくと、再び皿からカナッペを取り口にした。今度のは果物が塩気のあるバターと一緒になっていてこれも美味い。
「ひでぇっっ! なんってひでぇ男だ!」
ダンダンダンっと木を蹴りつけてどうやら地団駄を踏んだらしいサンジは、そんなゾロを睨みに睨み付け、低く唸った。
「おれを振らないだと! なんでだよ!」
「お前のこと好きだからだろうが!」
「ぎゃーーーーっ! ひでぇ冷血漢だぜ! なのになんでおれはこいつのこと嫌いになれねぇんだよ! お前は振るんだよ、おれを振って! おれを諦めさせて、おれはナミさんの胸に飛び込むんだよ! そしたらナミさんはおれを優しく慰めてくれるんだぁあああああ」
「それはない」
間髪入れず入ったツッコミは聞こえたらしく、サンジが泣きべそかきながら背後を見たが、全員手を振っている。
くすん、と鼻を鳴らし、でも…とサンジは今度は悄然とゾロを見た。
「お前…おれのこと好きなのか?」
「ああ」
「なら…おれのこと振ってくれよ」
「だからなんでだよ?」
「お前、おれのこと好きなんだろう!? なら振ってくれよ! それがお前がおれにできる最大限のよいことじゃん! おれは女の子が大好きなんだよー! お前を思い切れば、おれは! おれは! 分かるだろう!」
エクソシスト並みに上半身をぐりんと回して、横にいるフランキーに詰め寄ると、彼はガクガクと頷いた。
「お前はおれのこと好きかもしれないが、おれもお前のことだいっすきだが、お前はおれを振るんだ! おれは振られるんだ、それがお前がおれにしてくれる一番のことなんだよ、そうだろ!そうだろう!!」
「…おれはお前のこと好きなのにお前を振るのか?」
「そうだ! それこそがお前がおれにすることだ! だってお前、おれ達は一緒になれることって…ないだろう!?」
「そうでもねぇと思うがな」
「おれを愛してるなら、振れーっ!! いいから今すぐ振れーっ! そしたら、おれはお前がおれを好きだと、ちゃーーーんと理解してやるー!! だから振れー!!………振れっつってんだよっっ!!!」
そのあまりの勢いに、シン…と静まり返った中、深々としたゾロの溜息がこぼれた。
こいつはいったいどのくらい呑んだのだろう、とらちもないことを考えつつ、しかしとうとう涙を膨大にこぼしだした目の前の男に逆らう気力もない。
「あー、そうしたら理解するのか。本当だな」
「おう! おれはウソはつかねぇぜ!」
ガリガリと頭をかき、ゾロはそれこそ力の抜けきった声で、全身の力を抜きまくり躰まで背後の木に預けきって告げた。
「お前とはつきあえねぇ…」
それはこの場でのことなんだろうなぁ、と全員が理解した。
しかし。
サンジは硬直した。
それこそ石になったかのように、硬直した。
「…おい、コックのあんちゃん?」
思わず心配したフランキーが声をかけた途端だった!
洪水を思わす涙を、盛大に流しサンジががばっと立ち上がった。
そうして、
「うわーーーーーん、ゾロに振られたーーーーーーーーーっ!!!」
大音声で叫んだかと思うと、ゾロを思い切り木に叩きつけていた足でなぎ払うと、その場からキラキラと涙を光らせながら走り去り、とっととキッチンへと走り出す。
地面に横たわったゾロが見上げる中、本気泣きしたかのようなサンジが走り抜けていくのが見える。
腹の底から溜息しかでない。
そんなゾロの真上に、いつの間にか集まったクルー全員が顔を寄せてくる。
全員の目が同情に溢れまくっている。
「……お前も大変だなぁ……」
代表してそうまとめ上げたフランキーに、ゾロはもうやけくそのように目を閉じた。
…とかいう夢を見ました。
やまなしおちなしいみなし。
だって夢だもん。
というか、日誌に書くくらいなら、仕込んで話にするって手もあるんですが…まあ、これはこれということで(笑)
たまーーーーに、ワンピの夢を見ます。が、ホントにごく稀です。最近寝る前にお宝を少しづつ読むからかな? こんな中途半端な夢を見たのでご報告。
あ、一気書きの書き殴りなので、お話というには文章変です。すみません(笑)
ワケ分からないものだったので、ちょっとお裾分けしておきます(笑)この後どうなったんだろうなぁ(笑)
こんばんは、春の陽気でした。二十度軽く突破。
大寒って何?(笑)
でも天気はあんまりよくなくて、仕事しながらハラハラしておりました。段々段々雨雲が出てきてくらーくなっていきましたからねぇ。
梅が咲き始めてます。場所によっては満開です目の前の杜は見頃らしい。そろそろ1月も終盤、そんなもんかもしれません。
…南国と言われる場所ですよ、ここは(笑)
あー、なんか長々と書いたので、本日はもうこれまでにしますー。
つってもホント、適当に書いたので、そんな時間は経ってないんだけど(笑)
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ほしづき さき
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活字がなくては生きていけず。
日本文化にひたりまくり。
年期の入った刀好き。
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